
みどりの王国

「“みどりのゆび”を探しにいく」というひと言から始まった、イギリスの庭を巡る旅の記録。
写真家の戎康友氏と編集者・文筆家の鈴木るみこ氏が、雑誌『ku:nel』で訪れた、いくつものイギリスの庭。
その旅は、鈴木氏の「“みどりのゆび”を探しにいく」というひと言から始まりました。
格式ばっていた英国式庭園を自然に即した庭へと作り変えた庭園家や、芸術の域まで高めたイギリスの女性。
その思想を理解し受け継いできた庭師たちの“みどりのゆび”。
「変わらずに変わり続ける」庭に胸打たれた鈴木氏は、数年をかけて戎とともにこのシリーズを形にしました。
美と生命力に満ちたこの世ならぬ園は、今もそこに生き続けています。
「みどりのゆび」
美しい花を咲かせ、植物をよく育てる人は神様から“みどりのゆび(green fingers)”を授けられたと讃えられる。
イギリスでは何にもまして羨ましがられる才能ともいわれる。
「みどりのゆび」を持つ人に憧れます。
誰しもが最初は「私には才能があるかもしれない。」と思うもの。
私もこの店の開店当初、ちいさな花壇に夢を見ました。
「世界観をつくるんだ!」と鼻息荒く意気込み、色々な植物を植えました。
ジューンベリー、ブルーベリー、レモングラス、和はっか、ニンジンボク、、、、
ある時ふと思い立ち、サザンカを球体のトピアリーに仕立てたこともありました。
(何の高みを目指していたのか・・・。)
所詮商店主風情。
結局、私には水遣りの才能しかありませんでした。
開店から四年が経った今、薄倖の庭で咲いているのは「生活感」の花ばかり。
でもこれはこれで良し。
美しく管理された庭にはうっとりとしますが、生活感のある庭にはじんわりとします。
いつの日か、店の窓からもりっと膨らんだ緑と花を眺め、じんわりしたいです。
さて、この本の中の庭はどちらの庭かと言うと、うっとりもじんわりも両方する庭です。
少しだけ入荷しています。
この島のみどりのゆびをお持ちの方、みどりのゆびを夢見る方に。



著者 戎康友、鈴木るみこ
アートディレクション 有山達也
2023年8月刊

